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課税価格の考え方 7(容器の費用)

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関税定率法第4条第2号の「ロ 当該輸入貨物の容器の費用」は試験でよく出題されるテーマです。
とくに、但書の「当該輸入貨物の通常の容器と同一の種類及び価値を有するものに限る。」の部分と絡めて出題させることが多くなっています。

これは、加算要素となるものは「通常の容器と同一の種類及び価値を有するもののみ」で、「特殊な容器」は加算要素にならないことを意味します。
これを商品のValueという観点で考えてみましょう。

その商品を販売するにおいて容器を使うのは、内容物が漏れないように、小分けするため、商品の保護のため、などの販売上の都合があるためです。
販売上の都合に合わせるためですから、容器のコストは当然のことながら商品のValueを構成します。
もっといえば、容器の封入などをするための作業費や人件費も商品のValueを構成することになります。
つまり、貨物のValueを構成する以上、容器の費用は加算要素となります。

売手がそれらのコストを負担した場合には、買手への商品価格の一部として請求額に含めることになります。
買手がそれらのコストを負担する場合には、売手から請求される商品価格とは別に支払うことになります。
よって、容器の費用の扱いは下のとおりになります。

  • Invoiceに含まれている  →  含まれていて構わない(±どちらもしない)
  • Invoiceに含まれていない → 含まれていなければならない(+する)

ちなみに、この「通常の容器と同一の種類及び価値を有するもの」の範囲としては、基本通達4―10に
「関税率表の解釈に関する通則5(ケースその他これに類する容器並びに包装材料及び包装容器の取扱い)の規定により「当該物品に含まれる」ものとされるケースその他これに類する容器及び包装容器」
と示されてます。
※そういう意味では、この条文を正しく理解するには、通則5を理解する必要もあるということです。

なお、通則5では、「明らかに反復使用に適するような包装材料及び包装容器(例えば、圧縮ガス用又は液化ガス用の金属製のドラム又は鉄鋼製容器)」には適用しないことになっていますから、容器の内容物が使用済み、または、廃棄される際にはその容器も使われなくなるものが対象といえるでしょう。
基本通達4―10で「関税定率法第14条第11号(再輸入する容器の無条件免税)、第14条の2(再輸入減税)又は第17条第1項第2号(再輸出する容器の免税)の規定により、関税が軽減され又は免税されるものを除く」とあることと意味は同じです。

また、通則5では「容器」の定義として「重要な特性を全体に与えない容器」を挙げています。
これは、関税定率法第4条第2号 ロの但書「通常の容器と同一の種類及び価値を有するものに限る。」とあるものと軌を一にします。
では、なぜ「特殊な容器」は加算要素としてはいけないのでしょうか?

前に「税関は、輸出入者や通関業者を1ミリも信用していない。輸出入者や通関業者は密輸をしよう、関税をちょろまかそうと思っているに違いないと考えている。」と言いました。(通関士試験範囲の条文に挑む心構え
その観点、というか、税関職員として取り締まる立場になって考えてみて下さい。
例えば、容器と内容物が全く別々に提示されたときに、関税率が、容器は30%、内容物が無税だったとしましょう。
関税率が30%ということは、その容器が高価がものであったら関税額もけっこう高くなります。
もし、どんな容器であっても、容器の価格を含めた価格で内容物の関税率(無税)が適用されるとなれば、輸入者はどうかんがえるでしょう?
内容物にマッチしていないとしても、無理矢理にでもその容器に内容物を詰めて「容器だから内容物と同じ関税率ですよね!」と主張する者がでてくるかもしれません。
現在の関税率で、そうすることが得になる組み合わせがあるかどうかは別にして、考え方としてはそういう税逃れをさせないためのルールなわけです。

では、次はこの「容器」と間違えやすい「包装」について読み解いてみましょう。

 

 

 


課税価格の考え方 8(包装の費用)

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関税定率法第4条第2号の「ハ」は「当該輸入貨物の包装に要する費用」です。

通関士試験では、これは前回お話した「ロ 当該輸入貨物の容器(当該輸入貨物の通常の容器と同一の種類及び価値を有するものに限る。)の費用」と絡めて出題させることが多いようです。
出題のパターンとしては、特殊な容器なのか、特殊な包装にあたるのかという形です。
前回の話のとおり、「特殊な容器」の費用は、当該輸入貨物の価格に加算しません。
しかし、「特殊な包装」の費用は、ロのようにカッコ書きによる排除がありませんから、当該輸入貨物に加算することになります。

包装の費用が加算要素となる理由は、Valueの視点で考えると簡単でしょう。
商品の提供に必要な包装は、その梱包作業の人件費も含めて、通常、売手が商品を提供する際に必要となるものです。
よって、売手はそれらの費用を販売価格に含めて買手に請求することになります。
売手がそれらのコストを負担した場合には、買手への商品価格の一部として請求額に含めることになります。
買手がそれらのコストを負担する場合には、売手から請求される商品価格とは別に支払うことになります。

よって、包装の費用の扱いは下のとおりになります。

  • Invoiceに含まれている  →  含まれていて構わない(±どちらもしない)
  • Invoiceに含まれていない → 含まれていなければならない(+する)

問題は、「容器」と「包装」の違いです。
それがわからなければ、「特殊な容器」と「特殊な包装」の区別もつけられません。
簡単な定義でいえば、商品を入れるものが「容器」で、商品を包むものが「包装」と言えるでしょう。
その違いは、「いつまで使われるか」で考えることができ、「容器」は、基本的にその内容物が無くなるまで使い続けられるものです。
一方、「包装」は、基本的にその内容物が入手された時点で剥がされて廃棄されるものです。

出題されたときには、どちらになるのかを見極めてください。

なお、貨物を入れた「コンテナ」は、輸送器具であり、容器でもなければ、包装でもないということは、以前に説明したとおりです。

輸出申告書のショートカット

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さて、いよいよ通関士試験が迫って来て、みなさん、ラストスパートに入っていることでしょう。
試験の3科目のうち、多くの方が通関実務の科目で試験時間が足りないとおっしゃいます。
そこで、少しでも時間が節約できるように、輸出申告書の問題で時間(ショートカット)を節約できる方法をご紹介します。

といっても、今年は得点配分が変わることになっているので、正確にこのとおりにできるとは限りません。
あくまでも、従来どおり、下の形式になっていることが前提であることだけご了承下さい。

  1. 回答欄が5欄あること。
  2. 5欄全てに品目が入り(解答する)、使用しない欄がないこと。
  3. 輸出申告価格を解答する必要がないこと。

各所の模擬試験でも、得点配分はさておき、出題形式の変更はないと予想しているようですので、当サイトでもそれに準じます。
(予想が外れて、出題形式が変わったらゴメンナサイというしかありませんが。)

このショートカットが使える問題には、下の条件となります。

  • 按分計算の加算要素や控除要素は、価格按分であること(数量按分では使えない)
  • 輸出統計番号の品目分類で、貨物の金額によって番号がわかるものがないこと。

過去問を見るとほとんど、そうなっていますから、使える可能性はかなりあると思います。

まず、大事なのは、前提の1.と2.です。
解答欄が必ず5つなのですから、Invoice上の貨物がいくつであろうと、必ず5つに分類されるわけです。
Invoiceから貨物の番号分類をして、同じ番号を統合した後に金額を合算します(外貨のままで結構です)。
ここで、品目が5つ以上あった場合、金額の多い順で上から4つ目までが、そのままの順番で1欄~4欄までになります。
5つ目以上は、20万円以下で合算する品目(少額品目)になります。
よって、そのうち、一番金額の大きな品目の番号で10桁目がXのものを選べばいいわけです。
20万円相当額を算出(20万円÷換算レート)をする必要がないことが重要です。

というと、「加算要素や控除要素は考えなくていいの?」という疑問に思われるでしょう。
ここで、条件の「価格按分であること」に注目します。
価格按分というのは、Invoice価格に比例配分して加算や控除するものですので、加算や減算をしたところで、金額の多寡の順番は変わりません。
よって、上記のように、Invoice価格のままで(同じ番号を統合後に合算した金額で)の順位はそのまま使えるのです。
これが、加算要素や控除要素を計算しなくて良い理由です。

結局のところ、外貨のままで1欄から5欄まで解答すべき品目の番号は確定できます。
20万円以下になる品目どうかを見る必要もありません。
また、前提の3.のとおり輸出申告価格を解答、つまり、円貨への換算も必要もありません。
よって、そもそも、輸出申告日から適用される円換算レートを知る必要もないわけです。

もし、条件の2が外れたとしても、換算レートを使って品目分類をする必要があるだけで、金額の大きな順で解答欄が確定することは同じです。

どうでしょう?輸出申告書の問題では、ほとんど計算する必要がないことがおわかりでしょうか?
ラストスパートにおいて、少しでも解答時間を減らしたいと考えている方は、練習問題や過去問題でお試しいただければ、その効果が実感できると思います。(I)

次は安全保障輸出管理実務能力認定試験を受けてみよう!

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通関士試験が終わりました。
今年は難易度が高かったようで、スクール各社で解答速報の内容が割れているような状況です。
ただ、自分の解答はもう修正できませんし、合格発表まで待つしかありません。

合否不明な状況で来年向けの試験勉強をすることもないでしょうから、ここは通関士試験のための勉強は一段落ということでいいでしょう。
しかし、せっかく身につけた勉強の習慣ですから、このタイミングでなにか別の勉強をしてみるといいでしょう。

おすすめなのは、安全保障輸出管理実務能力認定(STC)試験です。
これは、外国為替及び外国貿易法(外為法)のうち、ほんの一分野、経済産業大臣からの輸出の許可を要する場合についての知識を問うものです。
試験実施団体は、経済産業省の外郭団体である(一財)安全保障貿易情報センター(CISTEC)です。

輸出の許可を要する物品とは、簡単に言えば、武器・兵器、および、その開発や製造などに用いることのできるものです。
いまどき、軍事用と民生用の区別がはっきりつかない物品は多いですし、むしろ、民生用のものが軍事転用される恐れもあります。
そのため、想像よりも多くの物品(というよりも、ほとんどの物品)で、輸出の許可を要するというのが現実です。
近年では、これに違反したことによる摘発事例もしばしば起こっていますので、コンプライアンスの観点から、この分野の知識を持っている人は重要になってきています。

通関士試験で、外為法は範囲になっていますから、この分野を回避せずに勉強した方は、まだ知識が残ってて、とっつきやすいかと思います。
(あまり今からこういうことを考えることはよくないですが)、今年の通関士試験に不合格だったとしても、来年への布石になりえます。
ただ、STC試験は範囲がひじょうに狭い分、通関士試験よりも深くなっています。
また、状況を提示して、その場合における判断を求める問題が多いので、文章読解力が求められることになります。

次回の試験は、来年1月25日(月)に初級編であるAssociate試験が、2月26日(金)に上級編であるExpert試験が実施されます。
いまからのタイミングとしては絶好ではないでしょうか?
受験要項はこちらになりますので、ご覧になってみて下さい。

 

安全保障輸出管理(STC)試験のための勉強法

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STC試験のための勉強方法で悩ましいのは、書店で買える試験対策本がないということです。
そのため、CISTECや経済産業省のサイトや、CISTECで直販している本で勉強するしかありません。
そういった状況の中で、なるべくお金をかけずに勉強する方法について説明します。

STEP1
まずは、安全保障輸出管理の必要性について、現場レベルでのとりくみについて理解しましょう。
ジェトロのTV番組のウェブ公開版です。
安全保障貿易管理(前編)‐必見! 輸出の前の注意点‐
安全保障貿易管理(後編) ‐企業の現場では‐

STEP2
制度の基本的な内容を理解しましょう。
CISTECのウェブサイトにある動画セミナーです。
安全保障輸出管理の基礎 (制度編)
安全保障輸出管理の基礎 (実務編) 

STEP3
前STEPで見た内容を復習しつつ、より理解を深めるために経済産業省のパンフレットをよく読みましょう。
安全保障貿易管理ハンドブック(平成26年9月)

わかりにくい条文を読み解くには、CISTECによるこちらも参考にしましょう。
安全保障貿易管理のための 超訳 外為法 (本文)
こちらは、同名の書籍の抜粋部分ですが、これだけでも十分に役立ちます。
全文で学びたい場合にはこちらで有料書籍を購入(CISTECの直販)できます。

STEP4
これまでのSTEPで基本的な法制度の組み立てを理解したら、より細かい部分まで理解をしていきましょう。
CISTECの「輸出管理基本情報」の各項目に目を通していきましょう。必要に応じて、元の条文(経済産業省のサイト)にあたっていくことも大事です。

STEP5
CISTECのサイトにある問題演習型eラーニング教材で、解答&解説を丁寧に進めていくことで、理解度をより深めていきましょう。
「安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Associate)対策コース

STEP6
過去問演習をすることによって、試験突破力を上げていきましょう。
できればプリントアウトして解いて下さい。
最初はわからないところは調べながらでも、2回目以降は調べないで解くという順番でもいいでしょう。
同じ問題を何回も解くのも十分な練習になります。
大事なのは、まぐれで正解したのを実力だと勘違いしないことで、解説まで読んで間違った点をちゃんと正すことです。
過去問題は、こちら(CISTECのウェブサイト内)にあります。

これだけやれば、十分に試験に対応できると思います。
STEPが多いので大変に見えますが、STEP1~3はそれほど分量があるわけではありません。
頑張って試験合格を目指してください。

 

義務と任意

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通関士試験や安全保障輸出管理認定(STC)は、基本的には法令について学ぶことになります。
ですから、わからないことが出てきたら最終的には条文にあたることになります。
その際に注意しておくとよいのは、その条文で示されている内容は「義務」なのか「任意」なのか、また、その際の「主語」は誰なのかということです。
(これは貿易に関するものだけではないのですが)
試験でもこの点はよく狙われるところだったりします。

まず「義務」ですが、これは「しなければならない」、もしくは、「させなければならない」と決められているという意味です。
そうしろ/させろと決まっているわけですから、主語となるもののすべきかどうかという「判断」は求められていません。
例を挙げると、下のとおりです。

『関税法 第67条(輸出又は輸入の許可)
貨物を輸出し、又は輸入しようとする者は、(中略)税関長に申告し、貨物につき必要な検査を経て、その許可を「受けなければならない」。』
主語は「輸出入者」で、「しなければならない」というタイプの「義務」ですね。

『関税法 第71条 第2項(原産地を偽つた表示等がされている貨物の輸入)』
税関長は、(中略)直ちに通知し、期間を指定して、その者の選択により、その表示を消させ、若しくは訂正させ、又は当該貨物を積みもどさせなければならない。』
主語は「税関長」で、「させなければならない」というタイプの「義務」ですね。

一方「任意」は、「することができる」、もしくは、「させることができる」ということですから、逆にいえば必要と認められないならばしなくても/させなくてもよいものです。
ということは、主語となるものがそうすべきかどうかの「判断」をすることになります。
例を挙げると、下のとおりです。

『関税法第77条の2(郵便物に係る関税の納付委託)
郵便物に係る関税を納付しようとする者は、(中略)、これを日本郵便株式会社に交付し、その納付を委託「することができる」。』
主語は「郵便通関をしようとする者」で、「することができる」という「任意」だということがわかります。

『関税法 第68条 (輸出申告又は輸入申告に際しての提出書類)
税関長は、第六十七条の規定による申告があつた場合において(中略)申告の内容を確認するために必要な書類又は当該便益を適用するために必要な書類で政令で定めるものを「提出させることができる」。 』
主語は「税関長」で、「させることができる」という「任意」だということがわかります。

ある行為が、義務なのか任意なのかとは、つまりのところ、輸出入者や税関長という現場にその判断を任せても構わないのかということになります。
とくに、輸出入者については、前々から書いているように、「税関は、輸出入者や通関業者を1ミリも信用していない。輸出入者や通関業者は密輸をしよう、関税をちょろまかそうと思っているに違いないと考えている。」わけです。
よって、「任意」が認められる範囲は、輸出入者や通関業者に判断させても、密輸が脱税が起こしようがないと考えられるものだと思っていていいでしょう。
さらに、AEO事業者に認定されると、さらにその範囲が広くなることが理解できるようになるでしょう。
そして、税関長についても、そこは税関に判断を任せても、密輸や脱税につながる大きな抜け穴にはならないだろうと考えられる内容なんだと思ってくれていいでしょう。

こういう視点から考えると、条文の読み解きもやりやすくなりますし、推理ゲームみたいな感覚にもなれます。
参考書を選ぶときには、それぞれの行為が義務なのか、任意なのか、わかりやすく仕分けしていることが良書の条件の1つだと思います。

義務と任意-IATAディプロマの場合

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義務と任意の違いは、IATAディプロマ試験でも関係することがあります。

IATAディプロマ試験は、TACTもしくはOAGを参照する試験で、それらは英語で書かれていますし、試験問題も英語です。
なので、この義務と任意の違いは、文中の「助動詞」に現れます。
具体的には、「shall」となっていたら義務、「can」となっていたら任意と解釈されます。
義務を表す助動詞としては「must」がまず頭に浮かぶ方が多いでしょう。
しかし、ビジネス的な文書や法的効力を求める文書などでは、mustはあまり用いられず、shallを使うのが一般的です。

さて、このshallとcanの違いの典型的な例ですが、TACT Rules Section3.7. Class Ratesのところがわかりやすいかと思います。
Class Rates対象品目には、割増(Surcharge)となるものと、割引(Reduction)となるものがあります。
割増/割引運賃のRate(1kgあたりの運賃率)の建て方は、N.RateやQ.Rateの○○%増し/割りという計算をします。
ここでポイントになるのは、割引対象になる品目、例えば、3.7.7.のNEWSPAPERS,MAGAZINES~ や、3.7.8.のBAGGAGE SHIPPED AS CARGOです。

これらの品目については、Rateは○% of Normal GCR(%は100%以下)となっています。
N.Rateの○%とする場合には、その貨物の総重量がいくらになろうと、Rateは変わらないということになります。
しかし、航空貨物運賃には「重量逓減制」、つまり、総重量が大きくなればRateが下がるという原則があります。
そのため、貨物の総重量が大きくなると、Class Ratesで立てたRateよりも、GCRのQ.Rateの方が低くなるという逆転現象が起こるのです。

これについてTACTでは、取扱いを定めていて、「such lower rate(つまり、安いQ.Rate)」を、3.7.7.では「shall apply」、3.7.8.では「can be applied」と示しています。
つまり、前者は「安い方を適用しなければならない(義務)」、後者は「安い方を適用してもよい(任意)」とされているわけです。
ということは、ディプロマ試験で後者に該当する貨物がこのような状況になっている場合には、Class Rateを適用するのか、Q.Rateを適用するのか、答えが2つあるということになります。
実際に、こういう問題は過去(記述式解答の時代)に出題されたことがあり、正答も2つありました。
ただし、どちらかで解答すれば正答扱いされたものと思われます。

この正答が2つある状態、今の4択式になってからは出題されたことはありません。
しかし、選択肢の中に2つ該当するものがある場合に「D. both A and B」という選択肢を用意されることがあるのがIATAディプロマ試験です。
細かいようですが、shallとcanの違いについて認識しておいたほうがいいと思います。

地理の知識も身につけよう

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IATAディプロマ試験は、なんでもかんでも覚えてこいというタイプの試験ではありません。
多くの問題は、IATAより送られてくる資料(OAG & TACT)を試験会場に持ち込んで、それを参照して解いていきます。
その点、IATAディプロマが日本の試験との違いだと言えるでしょう。

しかし、こと世界地理については、知識が多ければ多いほど有利になる試験でもあります。

例えば、2都市間で貨物運送における運賃計算問題です。
GCR、または、SCRが適用される貨物であるならば、都市名がわかればそれで解くことができます。
Tariff Rate Tableは出発都市名のアルファベット順に掲載されているからです。
しかし、Class Ratesが適用される貨物の場合、出発都市、到着都市両方について、その都市がある地域(IATA AreaやSub-Area)がわからなければいけません。
有名な都市ならばどこにあるかわかるでしょうが、IATAディプロマ試験では、日本人になじみの浅い都市で出題されることもあります。
なので、都市がどこにあるのかわからない場合には、探さなければいけません。
手順としては、こうです。
都市名がわかれば、Tariff Rate Tableにはその都市がある国がCountry Codeで示されています。
Country Codeがわかれば国名→ IATA Area → Sub-Area の順で調べることができます。

この通り、知らない都市で出題されてしまうと、「OAG & TACT」を何箇所も繰る必要があり、手間・時間がかかります。しかし、その都市がどの国のものかがわかる、その位置もだいたいわかる、ということであれば、IATA Areaは簡単にわかりますし、せいぜいSub-Areaを「確認」すればいいぐらいになります。
IATAディプロマ試験は3時間(180分)で100問を解かなければならない試験です。
少しでも時間を節約できるなら、その分有利になるということがわかるでしょう。

もっとやっかいなのは、時差計算や国別運送規則のように「国・地域名」が判らなければ解けない問題なのに、問題には都市名しか出ていない場合です。
※国名がある場合と、ない場合があるので、どちらかといえば出題者が国名を記載し忘れたケアレスミスに近いものだと思いますが。こういう問題で都市名がわからない場合の解法は2つです。
1つは、英語辞書(これは持込可能です)で都市名を引き、そこに国名が出ているならばラッキー、というもの。
もう1つは、「OAG & TACT」の中の、Flight Schedule、Tariff Rate Tableなど都市名が出ている項に、探す都市が出ていればラッキー、というものです。
どちらも、手間・時間がかかりますし、そもそも記載があるのかどうか確実性がないという大きな欠点があります。
このことからも、世界地理の知識があると有利になるということがわかるでしょう。

世界地理、とくに世界各地の都市を覚えるのは興味がないと骨が折れることかもしれません。
地理をテーマにしたゲームでもやるのはいかがでしょうか。
このゲームなどお勧めですよ(ハマりすぎに注意)
【トラベラーIQ】 http://www.tripadvisor.jp/TIQGame


IATAディプロマの選択肢

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IATAディプロマ試験は、3時間で100問を解かなければなりませんが、その問題は全て英語です。
といっても、それほど難しい英語は出題されません。
全世界同じ問題で実施されますから、英語が母国語ではない国の受験者もいるからです。
(私たち日本人もそうですね。)
しかしながら、やはり知らない単語は出てくるものですし、英語辞書の持ち込みは可であるものの、試験時間を考えると辞書を引いている暇がないという状況もあるでしょう。

IATAディプロマ試験は全て、A~Dの4つの中から1つを選ぶ4択問題です。
なので、わからない問題でも、なにかマークすると少なくとも1/4の確率で正答することになります。
ですから、どうしてもわからないとき、時間がないときでも、必ずいずれかの選択肢を「エイ、ヤー!」とマークして下さい。

ちなみに、そのエイ、ヤー!で正答する確率を少し上げるテクニックがあるので、ご紹介しましょう。

それは、選択肢の「偏り」から見て取れる傾向です。
上述のとおり、選択肢はA~Dの4つですが、選択肢「D」でしばしば出てくるのが下の3つです。

  • Both X and Y
    :XとYの両方が該当(XとYはA、B、Cの選択肢のうち2つ)
  • All of the above
    :上(A~C)の全てが該当
  • None of the above
    :上(A~C)のどれも該当しない

これまでの試験を見ると、選択肢Dがこういうものである場合、これが正答であることが多いようです。
もちろん、絶対だというわけではありませんが、どうしてもわからない場合は、確率上はこれを選ぶと正答となる可能性が高いと言えるでしょう。
(ただし、このメソッドの活用は自己責任でお願いしますね。)

期限、期日を示す英語表現

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ビジネスとして行う貿易では納期などがありますから、日付や期限はひじょうに重要です。
なので、英語表現でそれらをどう表現するのかは注意すべきところです。

ところが、日本語でも「××から○○日後」という表現をすると、その「××」の日を含むのか、含まないのか迷うことがあります。
貿易実務検定ではここがよく出題されます。

日付、期限の表現方法の定義としては、ICC(国際商業会議所)が定めている「信用状統一規則」のものが知られています。
信用状統一規則は2007年版、いわゆるUCP600が最新版なのはご存知のとおりです。
UCP600は信用状に関するものですが、他の場面でも準用されていますので、貿易に関する英文レター全般に通用するものだと考えてもいいでしょう。

そこで、今回はUCP600で定義しているものを整理してみましょう。

  • 船積みに関するもの
    to、until、till、from、between
    → 記載した日を含む
    before、after
    → 記載した日を含まない
  • 支払期日に関するもの
    from、after
    → 記載した日を含まない
  • 月中の表現
    first half
    → 1日 ~15日
    second half
    →  16日~月の末日
    beginning
    →  1日 ~10日
    middle
    → 11日~20日
    end
    → 21日~月の末日
  • その他
    on or about
    → 最初の日と最後の日を含めて、前後5暦日の期間内
    prompt、immediately、as soon as possible
    → 具体的な日を束縛しない

こうった表現は、貿易実務検定試験だけでなく、ビジネス英語検定や銀行業務検定(外国為替)でも、出題されることがあります。
覚えておいて下さい。

SDR17かSDR19か

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IATA Diploma試験では、従価料金(Valuation Charge)を算出させる問題が出題されます。
この算出で必要になるのが、「1kgあたりの運送責任限度額(Carrier’s Liability per kg)」です。
IATAでは、これをSDR17またはSDR19としています。
SDRとは「IMFの特別引出権」のことで、現実の貨幣・紙幣はありませんが、各国の通貨との交換レートが立っています。

なぜSDR17と19の2つがあるかというと、運送責任限度額を定めている国際航空運送に関する条約に関係します。
条約は、ワルソー条約 → 改正ワルソー条約 → (モントリオール第4議定書) → モントリオール条約 と変遷しています。
このうち、SDR19と定めているのはモントリオール条約で、その前のモントリオール第4議定書ではSDR17となっていました。
どちらが適用されるかは、条約の批准状況によって違い、モントリオール条約批准国間の運送ではSDR19、それ以外の区間ではSDR17となります。
※日本はモントリオール条約批准国です。

モントリオール条約は随分前に発効していますが、これまでDiploma試験では、以前のSDR17が使われていました。
しかし、今回試験で配布されたテキストおよびOAG&TACTの edition 2.0 で初めてSDR19の記載が登場し、SDR17、SDR19 両方で各通貨の相当額が掲載されるようになりました。
「じゃあ、どっちを使うの?」ということですが、上記のように設問でモントリオール条約批准国間での運送であればSDR19、そうでなければSDR17ということになります。

ただ、次回3月試験では、SDR17での記載しかない以前のテキストおよびOAG&TACTの  edition1.9 で勉強されている方もいますので、SDR19となる状況をそのまま出題することはできません。
「1kgあたりの運送責任限度額はSDR17」と明記する、1.9の方には試験会場で2.0を当日配布する、などの措置が必要になります。
1.8→1.9に変わったときには、1.8で学習された方には、試験会場でOAG&TACTの1.9が配布されたという実績もあります。
しかしながら、1.9にはSDR19の意味が記載されていませんので、OAG&TACTを配られても対応しようがないのも事実です。
結局のところ、現状ではどうなるのか不明です。
もう少しすれば、試験実施団体である航空貨物運送協会(JAFA)より、edition変更による試験対応の情報が出てくる可能性もあります。
受験される方は、こまめにチェックしておいて下さい。

IATA Diploma テキスト edition1.9→2.0へ

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IATA Diploma試験(以下、ディプロマ試験)については、2015年秋にIATAへの受講登録をされた方から、テキストのeditionが2.0になりました。ディプロマ試験では、多くの問題をテキストと一緒に送られてくる「OAG & TACT Training Edition」(以下、TACT)を使って解くことになりますが、こちらも同様に2.0になりました。
(それ以前のeditionは1.9でした。)

TACTは自己学習に使うものですので、書き込みや付箋をしたものを試験会場に持ち込むのはOKです。
むしろ、解答時間を節約するために、何度も見ることになるセクション(IATA AreaやRounding off Unitなど)に付箋でタグを付けておくのがセオリーです。

ここで問題になるのが、TACTです。
次回3月試験は、edition2.0がベースになります。
ところが、2015年秋以前に受講登録された方は、edition1.9しか持っていませんので、どうするのかということになります。
edition1.9、2.0のいずれであっても解けるような問題、例えば「この数字を使う」という指示が記載される可能性はあります。
しかし、以前の事例(edition1.8→edition1.9になったとき)では、旧版(つまり、今回で言えばedition1.9)を持っている方には、新版(edition2.0)が試験当日に会場で配布されるという可能性もあります。
ですので、後者になった場合に少しでも対応できるようにすることをお勧めします。

具体的には、付箋をもう1セット用意しておくことです。
1.9が使えることも想定して、1.9のTACTも準備しておくのはもちろんですが、それとは別にタグ、付箋を1セット用意します。
これは、試験会場で2.0が配布された場合のもので、2.0を入手したらその場で急いで必要なページを探しタグ、付箋を貼るためです。
当社でざっと見たところ、TACTはedition1.9よりも2.0の方が分厚くなっていますが、その増頁分のほとんどは、1.9でもあったセクションで、全部掲載されていなかったデータが全部掲載になったというものです。
セクションの並びは基本的に変わらないので、1.9で一度タグ、付箋を付けたのならば、それほど難しいことではないと思います。
ただ、探す時間がある程度必要になってきますので、できるだけ早く試験会場に入るということも必要でしょう。

Minimum Charge、Pivot Weight

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IATA Diploma試験では、公式テキストでは説明がろくにないにも関わらず、毎回出題されているテーマがあります。
それが下の2つです。

1.特定の国からのminimum charge

minimum chargeは通常、City to Cityで掲載されているTariff Rate Tableの「M」の項から見つけることができます。
しかし、City(都市名)ではなくCounrty(国名)が指示されて、その国から特定の国・地域へのminimum chargeを問う問題が出題されています。
この場合、当該国のどこか適当な都市のminimum chargeを見ればいいのかというとそうではありません。
しかし、「OAG & TACT」の特定のページを見れば簡単に解くことができるものです。
該当ページはTACT Rules 3.4(edition1.9ではP.49、edition2.0ではp.94)です。
本来、Tariff Rate Tableに記載されている各都市のminimum chargeはこれを元に作られているのですが、公式テキストには詳しい記載がありません。
このTACT Rules 3.4を見ればわかるとおり、国別にどのIATA Area向け(例外として特定の国向け)た場合はいくらという形で記載されています。
(左列の数字がIATA Area番号です。)

2.ULDを利用する場合の「定額限界重量」

問題文では「minimum chargeable weight(pivot weight)」と記載されていますが、公式テキストにははっきりとした説明はありません。
これはULDを借り切って運送依頼する際に使われるものです。
基本料金で運送することができる最高重量を意味しますが、これは裏を返せば、このその設定されている重量以下であっても、最低料金(minimum charge)として同じ料金がかかることを意味します。
pivot weightはULDごとに設定されており、また、特定の発地・ULDには独自の重量が設定されています。
この問題も、「OAG & TACT」の特定のページにある表を見れば解けますので簡単です。
edition1.9 では、TACT Rules 3.10(P.61)にあります。
edition2.0 では、上記sectionは削除されましたが、TACT Ratesに掲載されています。
World Wide編、North America編のいずれも4.2(P.397、502)にその設定重量が示されています。
(どちらのページでも内容は同じです。)

いずれの場合も、情報のありかさえわかれば簡単に解ける、チャンス問題ともいえる内容です。
すぐに解けるように「OAG & TACT」にタグ付けしておくと良いと思います。

IATA Diploma試験の得点配分

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既に述べたとおり、IATA Diploma試験のテキストブックのeditionが1.9から2.0に変わりました。
しかし、当方で確認したところ、「TEXTBOOK」にも「OAG & TACT」にも、ほとんど内容に変わりはありませんでした。

目立って変わったのは、Module 9:Cargo Automation(貨物運送の電子化・自動化)ぐらいです。
これは、将来計画も含めて掲載されていたので、時代の変遷で内容が変わるのは仕方がないところです。
しかし、このModuleからの出題数から考えると、それほど重要なところではないでしょう。
その一方で、edition2.0では、Class Ratesで各品目にあった「Within Europe」間の運送に係る例外規定が無くなりました。
ここは引っ掛け問題によく使われたので、この問題の難易度が下がったと言えるでしょう。

また、「OAG & TACT」が大幅に増ページになっていますが、これはほとんどが下の理由によるものです。
-OAG部分
・Flight Scheduleの掲載路線が増えた。
-TACT部分
・edition1.9ではいくつかのSectiondeで、途中までしか掲載されていなかったリストが最後まで掲載されるようになった。
・Tariff Rate Tableの掲載区間が増えた。

これらから踏まえると、試験での各Moduleの得点配分に大きな変更はないと思われます。
基本的にディプロマ試験はTEXTBOOKのModule順に出題され、これまでの得点配分のモデルは下のとおりです。

Module 1:Industry Regulations - 5問
Module 2:The Air Cargo Agency - 7問
Module 3:World Geography - 5問
Module 4:Use of Guide - 6問
Module 5:Aircraft - 11問
Module 6:Handling Facilities - 3問
Module 7:Air Cargo Acceptance - 12問
Module 8:Cargo Booking Procedures - 2問
Module 9:Cargo Automation - 5問
Module 10:Air Cargo Rates and Charges - 37問
Module 11:The Air Waybill - 4問
Module不定 - 4問(最後の数問が問題数の調整的に使われます。)

※あくまでも、モデルなので、試験回によって出題数は1問の増減はあります。
※上記を合計しても100問にはなりません。

ディプロマ試験の合格基準は60点ですので、どこを取るのが楽なのか判断できると思います。
Module 1、2、8、9は「OAG & TACT」に記載がなく暗記をしなければならない内容がほとんどで、Module7もその傾向が強いといえます。
その逆に、Module 3~6、10、11は「OAG & TACT」から情報を探すものです。
とくにModule 10は計算問題でかつ出題数も多いので重要な部分です。
ぜひとも参考にして下さい。

IATA Diploma試験でやっかいなこと

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IATA ディプロマ試験では、Flight Schedule(航空時刻表)や、Tariff Rate Table(運賃率表)を用いて解く問題が多く出題されます。
ほとんどの問題では、それは持込資料である「OAG & TACT」に掲載されているものを使います。

しかし例外的に、そこに掲載されておらず、試験問題の問題文中にあるものを使うことがあります。
場合によっては、問題冊子の一番最後、もしくは、試験会場で追加ペーパーの形で使用が指示されることもあります。
おそらく、試験問題を作るときに「OAG & TACT」に掲載されていなかったことに後で気付いたものだと思われます。
(とくに後者の場合)
このあたり、IATA Diploma試験が日本で作成されるものではないことによるものだろうと思います。
このあたり、日本の試験だと、事前に相当チェックをするんでしょうから。

こういった試験問題内、または、追加ペーパーを使用する場合には、やっかいなことになることもあります。
それは、ただでさえ文字が小さいFlight ScheduleやTariff Rate Tableが、突貫工事での印刷であるせいか、画像が荒くなっていることがあるということです。
例えば、Flight ScheduleのAircraft Type のCodeで、本来は「RFS」(Road Feed Service)であるものを、文字が潰れて「AFS」に見えるといったようなことです。
「OAG & TACT」のAircraft type のページには「AFS」というCodeは出ていませんから、読み違えると解くことはできません。
試験会場で試験官に質問しても、まず回答はないでしょう。

探しても見つからない、そういうときは、ディプロマ試験が4択問題であることを利用するしかありません。
各選択肢に該当する機種のCodeを「OAG & TACT」で調べ、それが問題文のどれに一番類似しているか「見る」しかありません。
また、Tariff Rate Tableの場合だと、問題文中の数字(Rate)で算出して選択肢に答えがない場合には、その読み取ったRateが間違ったということになりますから、読み取った数字が間違っていると判断し、別の数字である可能性を考える必要があります。

ちょっと面倒ではありますが、「そういう試験だ」と割り切って下さい。


換算レートがない場合

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IATA Diploma試験には立替払手数料(Disbursement Fee)を算出させる問題が1~2問出題されます。
算出には、TACT Rules Section 4.2を見ることになります。
Disbursement Feeの基本は、立替払い総額(Disbursement Amount)の10%ですが、さすがにそんな簡単な問題が出題されることはまずありません。

過去の問題において、数多く出題されているのは、下の2つのパターンです。

  • 4.2.3.-3の Restrictions に当てはまる問題
  • 4.2.3.-4の「表」からMinimun Feeとして、USD20相当を答えさせる問題

とくに、Minimum FeeであるUSD20相当については、しばしば出題されていますので、要注意です。
この場合、Disbursement Amountの10%である計算上の Disbursement Fee と、MinimumであるUSD20相当を比較して高いほうを選ぶことになります。

しかし、過去に-4の表に挙げられていない国、つまり、USD20相当を探せない問題が出題されたことがあります。

この場合はどうすればいいのでしょうか?
公式のTEXTBOOKには掲載されていない方法ですが、TACT Rates Section5.3.1 Construction Exchange Rates の表を使うしかありません。
この表には、各国の対USD基準レートが記載されています。
USD1=当該通貨○○という記載ですので、USD20相当であれば(該当するレート×20 )を計算して、先に計算した計算上のFeeと比較するわけです。

一度しか出題されたことのない、特例中の特例ではありますが、用心のために持込資料(OAG & TAT)の該当ページにタブを付けて探せるようにしておくとよいかと思います。

2016年度 貿易に関連する試験の日程

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3月に入り、来年度はどういう勉強をしようかと考えている方もおられると思います。
一方、各試験実施団体より、2016年度の試験実施予定日の発表が出ています。
今回は、例年の試験実施スケジュールを踏まえた予測実施日を含めて、ご紹介します。
とあるのは、予測実施日)

― 2016年 ―
5月15日(日)
貿易実務検定 C級

6月4日(土)
IATA Diploma 危険物コース

6月27日(月)
STC Associate 認定試験
STC Advanced 認定試験

7月3日(日)
貿易実務検定 A級、B級、C級

9月3日(土)
IATA Diploma 基礎コース
IATA Diploma 危険物コース

10月2日(日)
貿易実務検定 C級
通関士
日商ビジネス英語検定 1級

10月17日(月)
STC Associate 認定試験

1023日(日)
銀行業務検定 -外国為替2級、3級-

12月3日(土)
IATA Diploma 危険物コース

― 2017年 ―
12月4日(日)
貿易実務検定 A級、B級、C級

1月30日(月)
STC Associate 認定試験
STC Advanced 認定試験

2月19日(日)
日商ビジネス英語検定 1級

2月23日(木)
STC Expert/STC Legal Expert 認定試験

3月4日(土)
IATA Diploma 基礎コース
IATA Diploma 危険物コース

35日(日)
貿易実務検定 B級、C級
銀行業務検定 -外国為替2級、3級-

なかには関連した内容であるために、並行して効率よく学習できるものもあります。
この1年間でどの資格をどの順番でとるように勉強するのがよいか、検討してみてはいかがでしょうか。

※日程が予測であるものは、確定次第、順次更新していきます。

貿易当事者の呼び方 1

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貿易関係の勉強する中で「ややこしい」ことの1つには、当事者が様々な呼び方/呼ばれ方(以下、呼称)をすることが挙げられます。
逆に言えば、そういった呼称を整理することが貿易を理解する早道だと言えるでしょう。
こういった呼称は、取引の流れの中での場面・局面とその時に関係する業者によって変わります。
そこで今回はそれを見ていきましょう。

  • 輸出者-輸入者間
    売買取引の中心である輸出者、輸入者ですが、輸出者(Exporter)、輸入者(Importer)と呼ばれることは稀です。
    輸出者は売手(Seller)、輸入者は買手(Buyer)と呼ばれるのが一般的です。
    そのため、インコタームズでも、その解説本の中では売手、買手という呼称になっています。
  • 対運送業者
    商品が運送されなければ貿易取引は成立しませんから、必ず運送業者を使うことになります。
    運送業者との間では、やはり輸出者、輸入者という呼称は使われず、貨物を送り出す側を荷送人(Shipper)、貨物を受け取り側を荷受人(Consignee)と呼びます。
    一般的には、輸出者=Shipper、輸入者=Consigneeとなりますが、必ずしもそうとは限りません。
    これは考えれば簡単なことで、皆さんも旅行先からの宅配便で自分から自分に荷物を送ったことがあると思いますが、荷送人と荷受人が同一になることは珍しくないからです。
    輸出者=輸入者となる可能性があるので、そういった呼称を使うのはふさわしくないのです。
    また、荷為替手形決済の場合、Consignee=輸入者とすると、代金決済前に輸入者に貨物が引き渡されてしまうことになります。
    運送業者にとっては、輸入者が代金決済をしたかどうかは知ったことではないですし、確認もできないので、Consigneeとされた者に貨物を引き渡すだけだからです。
    そのため、L/C決済を含む荷為替手形決済では輸入者が決済するまではConsigneeは輸入者にしてはいけません。
  • 対銀行
    貿易決済では必ず銀行を使いますが、この銀行が登場する場面こそ貿易取引での当事者の呼称がややこしくなっている大きな理由でしょう。
    それは、海外との支払い-受取りの関係は、貿易取引に限ったものではないので、輸出者、輸入者という関係で固定させることができないからです。
    呼称が変わる状況の1つは決済方法の違いです。
    例えば、送金決済では、お金を支払う側は支払人(Payer)、お金を受取る側は受取人(Payee)と呼びます。
    一般的には、輸出者=受取人、輸入者=支払人となります。
    一方、荷為替手形決済では、為替手形との関係性で呼ばれ、手形を振出す側は振出人(Drawer)、手形の提示を受ける側は名宛人(Drawee)となります。
    一般的には、輸出者=振出人=受取人、輸入者=が受取人となります。
    しかし、これがL/C決済になるとさらに変わります。
    L/Cの発行依頼をする側は発行依頼人(Applicant)、L/Cを発行され支払保証を受ける側は受益者(Beneficiary)となります。
    輸出者=受益者、輸入者=発行依頼人となりますが、為替手形での呼称はL/Cが無い場合と同じです。
    また、決済方法とは違いますが、貿易取引の一環として、輸入者が銀行に対して約束手形を差し入れる場合があります。
    L/Gで貨物を引き取ろうとする場合や、本邦ローンを利用しようとする場合です。
    約束手形はお金を支払おうとする側が振出人(Drawer)、お金を受取る側が名宛人(Drawee)となります。
    Drawer=輸入者、Drawee=輸入地銀行となりますので、輸入者の呼称が為替手形と逆になるわけです。
  • 対保険会社
    貿易取引では通常、貨物に保険を掛けます(付保すると言います)ので、損害保険会社と関係することになります。
    保険を掛ける(保険契約)をする側を保険契約者、保険金を支払う側を保険者、保険金を受取る側を被保険者(保険金受取人)と呼びます。
    保険者が保険会社になるのはわかると思いますが、問題は保険契約者と被保険者です。
    保険契約者はその取引の貿易条件、いわゆる、インコタームズで保険料を支払う側となった者ですので、輸出者がなる場合と輸入者がなる場合があります。
    E類型、F類型、CFR、CPTでは輸入者になるのが一般的、CIF、CIP、D類型では輸出者になるのが一般的です。
    一方、被保険者は最初は保険契約者とイコールですが、最終的には輸入者となるようにするのが一般的です。
    つまり、輸入者が保険契約者となった場合は、保険契約者=被保険者=輸入者です。
    一方、輸出者が保険契約者となった場合は、被保険者は輸出者→輸入者に変更されることになります。

こういった関係性は、貿易関係の書籍を書く人、貿易関係の講義をする者にとって悩みの種です。
「正しい呼称」は上記のようにあるのですが、誰が何をしているのかについてわかりやすさ重視で説明するため。輸出者、輸入者と説明することが多いのはそのためです。

貿易当事者の呼び方 2

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いわゆる「輸出者/輸入者」に対する呼称について、通関手続きの局面ではまた違った呼び方がされます。
違った呼び方というより、より細かく定義されていると言った方がいいでしょう。

関税法などの法令の条文を全文検索していただければ(今はウェブサイトに出ていますので調べやすいですね)わかりますが、単純な「輸出者」とか「輸入者」という記載が意外なほど少ないことに気付きます。
その一方で、輸出/輸入される前と後で呼称が変わることにも気付きます。

基本的には、下のとおりです。
輸出許可を受ける前は「輸出しようとする者」、輸出許可を受けた後は「輸出した者」となります。
輸入許可を受ける前は「輸入しようとする者」、輸入許可を受けた後は「輸入した者」となります。
また、両方について示したい場合は「貨物を輸出し、又は輸入しようとする者」となります。
(いずれも前に「貨物を」がつきます。)
輸出/輸入の前後で呼称が変わるのは、税関の取り締まりの仕方が変わるからです。

しかし、輸出者、輸入者という呼称が使われないわけではありません。
その場合の使われ方を見ると、登場頻度が高いのは「特定輸出者」、「特例輸入者」といったAEO制度関係ですが、これはステータスとしての用語ですから対象外とします。
それ以外で登場する場面は、輸出/輸入してはならない貨物に係る条文、税関による調査に係る条文などです。
ただ、これらの場合「許可を受ける前/後」いずれの文脈でも使われていますが、なんとなくですが、比較的新しく加わった条文でこの呼称になっているように思われます。
関税三法はツギハギだとよくいわれますが、こういった用例の混在が通関士試験のための勉強をややこしくしているところです。

この用例は、関税定率法でも同じで混在しています。
基本的には関税額算出に係る条文では「輸入しようとする者」、特殊関税に係る条文では「輸出者/輸入者」となっています。
(輸出には関税がかかりませんので「輸出しようとする者」の記述は出てきません。)
ところ、関税定率法ではさらに用語が加わり、これが状況をややこしくします。
関税額算出の勉強をした方ならばわかると思いますが「売手」、「買手」という言葉があるわけです。
これは、商社などの仲介者を通しての輸出入、輸出入手続きを外部委託する場合など、貿易取引の形態には様々なものがあるためです。
よって、関税定率法基本通達では以下のとおり定義されています。

買手:本邦に拠点を有する者であって、当該拠点において実質的に自己の計算と危険負担の下に売手との間で輸入貨物に係る輸入取引をする者。
売手:実質的に自己の計算と危険負担の下に買手との間で輸入貨物に係る輸入取引をする者。
「具体的には、買手及び売手は、自ら輸入取引における輸入貨物の品質、数量、価格等について取り決め、瑕疵、数量不足、事故、不良債権等の危険を負担する者」となっています。

例えば、あるメーカーが貨物の輸入契約を結び、しかし、貿易手続きについては詳しくないために商社に輸入実務を任せる場合です。
メーカーから依頼を受けて、貨物の輸入手続きを行うのは商社なので、商社は輸入者にはなりますが、「実質的に自己の計算と危険負担の下に輸入取引をする」のは当該メーカーですから、買手は当該メーカーということになるわけです。

通関士試験のための学習には、用語定義をしっかり理解すること大切ですが、こういう輸出者、輸入者のようにあまりにも基本と思われる用語もきっちり理解して下さい。
とくに、「売手/買手」と「輸出者/輸入者」の違いについては、通関実務科目の課税価格の算出問題で重要な要素になることもありますので、要注意です。

新年度、語学学習をはじめましょう!

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貿易ビジネスを行うのに、語学は必須です。
英語が重要なのは言うまでもありませんが、さらに最近では「英語+one」の時代とも言われています。
その理由としては、ある程度の英語力がある人が増えたので就職・転職では英語以外の言語も使えるかということが評価項目の1つとなっていること、日本企業の活動する市場が英語圏以外に広がってきていることが挙げられるでしょう。

英語力に限らず、語学力は一朝一夕に上がるものではないことは皆さんもよくご承知のことでしょう。
そして、その言語を聞く・話すことから離れてしまうと、力が落ちてしまうということを痛感された方もおられるでしょう。
しかしスクールに通うなどして学習を続けるにはお金がかかる・・・というのが現実です。
せめて耳だけでも他言語に触れておきたいものです。
そこでお勧めしたいのが、NHKの語学学習番組です。
ちょうど新年度が始まったばかりなので、とっつきやすい時期です。

というと「えー、NHKの語学学習番組なんて今更じゃないですか?」と思われる方も多いかも知れません。
たしかに、昔からありますが、いまや相当進化しています。

まず、内容がかつてよりも充実しています。
とくに英語では、レベルごとに数多くの番組が用意されていますので、しばらく英語から離れていた人でも下のレベルからの耳慣らしからスタートできます。

また、視聴環境も進化しています。
番組にはテレビとラジオがあるのはご存知のとおりですが、ラジオについてはスマートフォンやタブレット用のNHK公式アプリ「らじる☆らじる」でクリアな音声で聞くことができます。
トンネルに入っても、最大3分程度のデータをバッファーできますので、切れることがなく聴くことができます。
(ただし、ネット回線なのでデータ通信容量を使います。)

また、語学学習番組の一番のネックだった「聞き逃し」への対応も、ネット時代に入ってしやすくなりました。
以前は、CD版を購入するなどしなければなりませんでしたが、今は先週放送分がストリーミング配信されるようになっています。
(ラジオは全部、テレビはキーフレーズなど一部のみ)
「マイ語学」というサービスへの登録は必要ですが、どれを見た・聴いたかの「出席簿」機能も使えますので、これで、「何回か聞き逃しので、話の筋がわからなくなってやる気が失せた」という失敗が相当軽減されるはずです。
今年の4月からは、このストリーミング配信用のスマートフォン、タブレット用の公式アプリ「NHKゴガク」も公開されて、より使いやすくなりました。
このアプリでは、自分の発音を録音してチェックすることができる機能(英語、中国語のみ)も付いています。
お金をかけずに学習を継続していくには、とても有用なツールだと思います。

日本での就職・転職で求められることが多くなったTOEICにもリスニングはあります。
こういった番組、ツールを駆使して地道に語学力を上げていって下さい。

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